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ゆうか。目の前のオレンジに透ける肌が、今にも融けていっちゃいそうで呼び戻すみたいに名前を口にした。なにぃ?って、いつもより一層掠れたふにゃふにゃな声が返ってくる。
なんか…気が抜ける。
さっきまであんなことしてたのが嘘みたい。でもわたしたちは今確かに、裸で一つのベッドの上で、手を伸ばさなくても届いちゃうような距離で。指先で肩をなぞってみたり、頬をつついたり。まさにそういうことしたあと、って感じですごく不思議。
さっきまでの…ことは何だかすごくぼんやりとしか思い出せなくて、でも感覚だけは妙にはっきり覚えてる。あまりにも必死だったから、自分がどんなだったかって想像するだけで恥ずかしくてもうだめ。声とか…多分すっごい出てた…よね…。

「ね、なに?」
「え?」
「え?って、いま憂佳呼んだじゃん」
「そうだっけ」
「呼んだよ」
「…覚えてなぁい」
「うーそー」

笑いながらぐしゃぐしゃって、頭撫でられる。さっきから憂佳がやたらと上機嫌なのが恥ずかしい。憂佳はもうわたしの知らないわたしを知ってて、あんな風に好きに出来ちゃうんだ。それでそんな楽しそうにしてて、でも悔しいのよりやっぱり、恥ずかしい方が勝る。頭を撫でた手はわたしの耳をくすぐって、目の前のふわふわした笑顔がふっと含んだ笑いになる。

「…さっきまであんなに呼んでたのも…、覚えてない?」

一気に頭に血が昇った。
最っ低…。

「覚えてない!」

仕返しに憂佳の髪もぐしゃぐしゃにして、いじわるな顔を隠す。やめてー、なんてまた憂佳は笑う。腕を掴まれる。

「かのん、超可愛かったんだよ」

最低。最低。憂佳のばかばかばか。
終わってからも恥ずかしくさせないでよ。

思いっきり睨むと急に泣きそうな顔になるから、こっちが悪いことしたみたいな気になる。何か申し訳なく思えて、乱した髪を整えながら頬を撫でてあげると、憂佳は嬉しそうに笑う。こうやってすぐに、怒ったり喜んだり。わかりやすくていいけど。

そういえば、さっきはわたしがされるばっかりだったけど、憂佳は満足したのかな。なんて思う。
わたしだってその、満足?したわけじゃ、ないけど。よくわかんないけど。
次はわたしがしてあげた方がいいのかなとか、何したらいいかわかんないけど、
てゆうか次って。次なんてあるのかな?


わたしたち、これからどうなるんだろ。

ごまかすみたいにそっと憂佳に口づけた。
たった一晩で、こんな風に当たり前にキスするようになっちゃったんだ、わたしたち。だから、無かったことになんてとても出来ない。
わたしのキスにふわふわした笑顔を見せて、憂佳もそっとキスしてくれる。優しい憂佳の唇になんだか泣きそうになっちゃって、またキスをすると、また返ってくる優しい感触。
そうやって何度も繰り返してると、気付いたら火がついちゃったみたいで、憂佳の熱い舌がわたしのそれを絡めとる。ふたりの吐息と濡れた音が響く。
あ、今なら…してあげられる気がする。
何をって、やっぱりよくわかんないけど。


片手で憂佳の肩を軽く押しながら、ゆっくりと覆い被さる。
上になって見るのって、見上げるときと全然違うんだね。
なんか…可愛い。

わたしは、どんな顔してたんだろ。どんな風に憂佳に見られてたのかな。
この愛しさみたいな気持ちは、憂佳も一緒だったのかな。

「…かのん?」

ほとんど音にならないような声で憂佳が呟く。やっぱ、なんか可愛いね。
憂佳の息遣いとか揺れる瞳とか、髪の毛の流れとかそうゆうのをまじまじと見てたら愛しさでいっぱいになってきて、不安そうな憂佳にできるだけ優しくキスをしてみた。ゆっくりと熱く絡む舌が溶けそう。

……あー、気持ちー。

キスするたび、わけわかんなくて熱くて頭がぼんやりなって痺れるみたいなこの感覚が、感じてるってことなんだってやっとわかった。これがもっと酷くなったのが、唇以外のとこにキスされたり触られたりしてる時だけど、じゃあわたしさっきまで、すっごい感じちゃってたんだ。なんて思って恥ずかしすぎて身体が震えた。

悔しいから、憂佳の感じてるとこも見たい。


「…かのん…」


邪魔する布とかなんにも無いから、手を伸ばせばすぐに触れられた。
胸元がくすぐったそうに身を捩る憂佳。どうやって触ったらいいのかまるでわかんないから、ゆっくり感触を味わった。すごく柔らかい。柔らかくて、何か、でも先は固くて、固くなってるところに指先で触れた。憂佳の吐息にほんの微かに音が混じった気がした。
触ってるほうは、意外に冷静で意識はっきりしてるものなんだとか思って、なんかますますさっきまでの必死過ぎた自分が恥ずかしい。でも今はきっと憂佳が、わたしの一挙一動でどうにでもなっちゃうんだよね。

憂佳の細く長い腕がわたしを包んで、ふたりの身体が合わさる。あったかくて柔らかくて、大事にしなきゃなって思えた。
噛みしめるような唇とか歪んだ眉とかが、わたしの手が動くたびに何かしらの反応を見せてくれて、それが嬉しくてもっと触りたくなる。もっと知りたくなる。
体をずらして舌で触れてみると、憂佳の手がわたしの頭を撫でた。安心感で満たされて、もっと進んでいいんだって気になる。


胸元で遊ばせていた手をゆっくり下へ動かす。どうしよう、緊張する。
何か、何も想像できない。自分以外のそんな、触るのなんて初めてだし。
ぬるりとした感触で指が滑る。

「…すごい」

思わず声に出しちゃって、憂佳の虚ろな視線に睨まれる。
「…ばか」
「…だって、なんか…」
「かのんだって、そうだよ」

そうだよって、…そうなのかもしれないけど。

見つめあって、深くキスをする。ぎゅっと抱きしめられる。なんにもわかんないけど、憂佳がしてくれたみたいに優しくゆっくり、撫でるみたいに触れた。

「……ぁ、……ん」

ときどき憂佳の息に音が混じって、でもどうしたら憂佳が気持ちいいのかはよくわかんなくて、奥に入ってみたくて、その場所を探した。
でもどうしよう、わかんない。かっこ悪いけどやっぱりわたしには何もわかんなくて。

「…ゆうか?」
「ん……」
「…ど、こ?」
「ぁ……、も、ちょっと……」
「……ここ?」
「ん…、…もぅちょっと、した…、ぁ」

あ、ここだ。

そう思ったときにはわたしの指はもう憂佳の中で、ゆっくりゆっくり奥へとはいっていった。

……熱い。
まるで初めての、感触。

「…っ、か、のん……」
わたしを抱く憂佳の手に力がこもって、眉がきつく歪んだ。頬は真っ赤で、可愛いなあなんて思う。
指の根元まで包み込まれて、その熱さに興奮が増してくる。わたしはどこも何もされてないのに、気持ち良いのが不思議で。
憂佳も…こうだったのかな。泣きそうな顔してる憂佳の頬を撫でる。目尻からは今にも涙が零れそうで、それを指で拭って舐めてみた。
「…しょっぱい」
少しからかうつもりで言ったのに、憂佳は涙を溜めたままねだるように唇を重ねてきた。

舌の動きにあわせて、ゆっくりと指を動かす。よくわかんないままだけど、傷つけたりしないように優しく、外側を撫でたり、奥まで入れてみたりする。痛くないのかなとか、苦しくないかなとか、色んなことでやっぱりいっぱいいっぱいになるけど、憂佳はそういうの全部大丈夫だよって、言ってくれてるみたいにわたしを包んでくれる。

唇が離れると、口元に憂佳の息がかかって。浅く速い呼吸に混じる音が、何かすごくいやらしい響きを持ってて、ああ憂佳はちゃんと感じてるんだって思って安心した。

「…ん、ぁ、はぁ……っ、ぁ……」

びっくりするくらいえっちであまい声に、わたしまで頭の奥がぼうっとしてくる。耳元がくすぐられてるみたいな感覚になる。わたしはきっと上手じゃないし、どうしたらいいのかどこがいいのかとかも全然わかんないし、でも憂佳はこんなに感じてくれてるんだ。それってきっとすごいこと。


憂佳の呼吸はどんどん乱れてって、してるうちに奥まで届くと気持ち良いのかもしれないってわかった。なんども憂佳のなかを、いりぐちから奥まで指を滑らせた。どれくらいこうしてるのかわかんないけど、憂佳がずっと求めてくれてるような気がして。さっきはわたしが疲れちゃって終わりにしたけど、今度はなんだか、もっと先までいけそうな気がするから。

「はぁ、は、…かの…ん、かのんっ…」
「ゆうか?」
「あのね、んっ、ぁの…」
「うん」

聞き逃さないように、憂佳の口元に耳を寄せた。息を飲む音がして、そのあとに小さく、いくかも、って聞こえた。背筋がぞくぞくって震えて、頭の奥が痺れた。
イくっていうのがどういうことなのか、もちろんわたしにはわかんないんだけど。でもきっとすごく気持ち良いことっていうのは間違い無いんだと思う。わたしが憂佳をそういう風にさせられるっていう嬉しさと、そうなりそうな今どうしてあげたらいいのかわかんないもどかしさと、胸いっぱいの愛しさで頭が真っ白になる。

わたしを抱き締める憂佳の腕は痛いくらいで、苦しくて、その腕のなか精一杯、全身で憂佳を愛した。








そういう行為のあとって、こんなに疲れるものなんだと思う。はじめてだからか、二回もしたからか、よくわかんないけど、とにかく疲れてぐったりしちゃって、憂佳なんかイってからひとことも喋んない。
「ゆうかー」
「…んん…」
まだあまい響きの残った声で憂佳が唸る。
…イくのって、どんな感じ?とか聞いてみたいけど、恥ずかしいからやめる。
何か、その瞬間ってこうもっとすごいこと想像してたんだけど、意外と静かなんだな、とか思った。だから余計にあのときに、どんな風に感じるのかって気になる。でもそんなこと聞いたら、次はイかせてあげるねなんて言われかねないし。
なんだか自然に口元が緩む気がして、さっき憂佳が上機嫌だった気持ちが今はよくわかる。ゆうか。ゆうか。もー、なに?って、やっとまともな返事が返ってきた。

「ゆうか、…気持ちよかった?」
「……ぅん」
「ほんと?」
「…ほんとだよ」
「ほんとに?」
「ほんとだってば、」

すぐに赤くなるから余計からかいたくなって、なんども聞き返すと怒ったふりした憂佳に拳で頬を押された。だって嬉しいんだもん。聞きたくなるよ。
…気持ちよくなきゃ、いかないし。憂佳は赤い頬のまま、半分枕に顔を埋めて呟くみたいに言った。嬉しくなってたくさんキスする。好き、って言ったら、こんどは憂佳がほんとに、って聞く。「好きだよ」と「ほんと?」の行ったり来たりで、先に折れたのは憂佳だった。わかったよ、ってなぜか不満そうで、そんな反応されたらこっちだって不満だし、キスしてやろうと思って顔を近付けたら、逃げられた。

「もーー、なんで?」
「えーだって…」
「うちだって、好きじゃなきゃこんなことしないし」
「…そうかもしんないけど」

まだ不満そうな憂佳に無理矢理抱きついた。少しの間のあと、憂佳の気だるげな腕が伸びてきて背中にまわされる。力は無いけど温かさは変わらなくて、何でこんなに安心するのかわかんないけど、ふわふわと幸せな気持ちになる。ああでもきっとこれが好きだからなんだと思って、顔を上げたら笑顔の憂佳と目が合った。ほらこうやってすぐに、怒ったり笑ったり。わかりやすくて、でも全然わかんない。憂佳の顔を見たら途端に言葉が出てこなくなって、憂佳はなんだかいじわるな笑顔で、からだはふわふわと幸せで。ちゃんと伝えようと思ってたのに、何て言ったらいいのかわかんないから、とりあえずキスをした。こんどは逃げられなかったけど、かわりに、食べられちゃうんじゃないかってくらいのキスを返された。









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